米TechCrunchは、イーロン・マスク氏が創業・支配・経営する企業を投資対象から外す新たなETF(上場投資信託)が登場したと報じています。対象から除外される企業には、Tesla(テスラ)やSpaceX(スペースX)などが含まれるとされています。
新しい上場投資信託(ETF)は、イーロン・マスク氏が創業、支配、または率いている企業を除外する。つまり、SpaceXやTeslaは含まれないということだ。
「人物リスク」を避けるETFという新しい発想
今回のニュースで注目すべきなのは、特定の業種や地域ではなく、「特定の人物に関連する企業」を明示的に除外するETFが登場した点です。従来のETFは、S&P 500やNASDAQ 100のような指数に連動したり、AI、半導体、クリーンエネルギーといったテーマに沿って銘柄を組み入れたりするのが一般的でした。
しかし今回のように、企業の創業者や経営者の影響力そのものを投資判断の対象にする動きは、投資商品の設計思想として非常に現代的です。特にイーロン・マスク氏は、Tesla、SpaceX、xAI、Xなど複数の重要企業に関わり、発言や意思決定が株価や世論に大きな影響を与える人物です。
投資家の中には、マスク氏の起業家精神や破壊的イノベーションを高く評価する人がいる一方で、SNS上での発言、政治的姿勢、企業統治への懸念などを理由に、関連銘柄への投資を避けたいと考える人もいます。今回のETFは、そうした「企業の業績だけでなく、経営者の価値観や行動も投資判断に含めたい」というニーズを商品化したものだといえます。
日本の投資家にも広がる「価値観で選ぶ投資」
日本でも近年、投資信託やETFを選ぶ際に、単なるリターンだけでなく、ESG、脱炭素、人権、ガバナンスといった観点を重視する投資家が増えています。NISAの拡充によって個人投資家層が広がる中、「何に投資するか」は同時に「何を応援するか」という意味も持つようになっています。
たとえば、環境負荷の高い企業を避けるファンド、兵器関連企業を除外するファンド、ジェンダー平等に積極的な企業を組み入れるファンドなどは、すでに世界的に存在感を高めています。今回のマスク関連企業除外ETFも、その延長線上にある商品と見ることができます。
「Teslaを外す」ことの意味は小さくない
特にTeslaは、米国株市場やテック系ETFにおいて存在感の大きい銘柄です。EV、蓄電池、自動運転、AIロボティクスなど、複数の成長テーマに関わる企業であり、多くの投資家が間接的に保有している可能性があります。
そのため、「Teslaを持ちたくない」と考えても、一般的なインデックスファンドやテーマ型ETFを通じて知らないうちに組み入れられているケースがあります。マスク氏関連企業を明確に除外するETFは、こうした投資家にとってポートフォリオの透明性を高める選択肢になります。
今後は「誰を避けるか」も金融商品のテーマになる可能性
今回の動きは、今後のETF市場における新たなトレンドを示している可能性があります。これまでは「AIに投資する」「半導体に投資する」「インド市場に投資する」といったポジティブなテーマ設定が主流でした。しかし今後は、「特定のリスクを避ける」「特定の経営者に依存しない」「特定の政治的・社会的論争から距離を置く」といった、除外型の投資商品が増えていくかもしれません。
日本の金融機関にとっても、この流れは無視できません。個人投資家が増えるほど、投資商品の差別化は重要になります。単に低コストであることに加え、「どの企業を含め、どの企業を含めないのか」を分かりやすく示すことが、ファンド選びの大きなポイントになっていくでしょう。
一方で、特定の人物や企業を除外することは、投資パフォーマンスに影響を与える可能性もあります。Teslaのような大型成長株を外すことで、相場上昇局面でリターンを取り逃すリスクもあります。価値観に沿った投資と、資産形成としての効率性をどう両立するかが、今後の投資家にとって重要なテーマになりそうです。
引用元: Don’t want to invest in Elon Musk? Two new ETFs explicitly exclude him
