X(旧Twitter)が、これまでクリエイター向けに提供してきた既存の収益分配プログラムを終了に向かわせ、新たに「Original Content Rewards」へ移行する方針であることが報じられました。従来の仕組みは、インプレッションやエンゲージメントを重視する設計が課題視されてきましたが、今後はより“オリジナルコンテンツ”を評価する方向へ舵を切る可能性があります。
Xは、既存の「Revenue Sharing(収益分配)」プログラムを段階的に終了させようとしている。
Xは「ミスアラインされた」、つまりプラットフォームの意図と必ずしも一致していなかった収益分配制度を、「Original Content Rewards」に置き換える。
“インプレッション稼ぎ”からの脱却は必然だった
これまでXの収益分配制度は、投稿の表示回数や反応の多さが収益につながる仕組みとして注目されてきました。一方で、このモデルには大きな副作用もありました。過激な発言、炎上狙いの投稿、他人のコンテンツの転載、AI生成による大量投稿などが、短期的にエンゲージメントを稼ぎやすいからです。
「ミスアラインされた」という表現は、まさにこの問題を示唆しています。プラットフォーム側が本来増やしたいのは、ユーザーが継続的に価値を感じる投稿や、独自性のあるコンテンツです。しかし収益化の指標が単純なインプレッション偏重になると、投稿者の行動は“質”よりも“拡散性”へ寄りがちになります。
日本でも、Xはニュース速報、芸能、政治、災害情報、エンタメ実況などで圧倒的な影響力を持っています。その一方で、まとめ投稿や転載アカウント、煽り投稿が伸びやすい構造も見られます。今回の変更は、こうした「反応を取った者勝ち」の空気を変えようとする試みと見ることができます。
Original Content Rewardsが意味するもの
クリエイター経済は“量”から“独自性”へ
新たな名称である「Original Content Rewards」は、文字通りオリジナルコンテンツへの報酬を前面に出したものです。詳細な制度設計は今後の発表を待つ必要がありますが、少なくともXが「誰かの投稿を再利用して伸ばす」よりも、「自分自身の視点・制作物・取材・専門性を投稿する」ユーザーを重視したい意図は読み取れます。
これはYouTube、TikTok、Instagramなど他の主要プラットフォームの流れとも一致します。各社は近年、単なる再投稿や低品質な量産コンテンツよりも、オリジナル性、視聴維持率、コミュニティ形成、制作者本人の信頼性を評価する方向に進んでいます。
Xにとっても、広告主や有料会員にとって安全で価値ある場を作るには、質の低いバズ投稿に報酬が流れ続ける構造を見直す必要があります。Original Content Rewardsは、そのための新しいインセンティブ設計と言えるでしょう。
日本のクリエイターや企業アカウントへの影響
日本の個人クリエイターにとって、この変更はチャンスにもリスクにもなります。ニュースの切り抜き、他人の動画の転載、海外ミームの翻訳だけで伸ばしてきたアカウントは、今後収益化の面で不利になる可能性があります。一方で、漫画、イラスト、解説スレッド、現地取材、専門知識、一次情報を持つ投稿者にとっては、評価されやすい環境になるかもしれません。
企業アカウントにとっても重要です。従来のように話題に便乗して短期的な反応を狙うだけでなく、自社ならではの知見、開発裏話、利用者に役立つ情報、ブランドの世界観を継続的に発信することが、より重要になります。
特に日本市場では、Xはいまだにテキスト中心の情報拡散力が強く、BtoC企業だけでなく、スタートアップ、ゲーム、アニメ、出版、飲食、小売など幅広い業界が活用しています。もしXが本格的にオリジナル性を報酬制度の中心に据えるなら、企業も個人も「ただ反応を取る投稿」から「資産になる投稿」へ戦略を変える必要があります。
今後の焦点は“どうやってオリジナルを判定するか”
最大の課題は、Xがどのようにオリジナルコンテンツを判定するのかです。画像、動画、文章、リンク投稿、引用ポストなど、X上のコンテンツ形式は多様です。AI生成コンテンツも増え続ける中で、単に「最初に投稿した人」を評価するだけでは不十分です。
たとえば、専門家による短い解説、現場からの速報、独自の調査データ、クリエイター本人の作品、企業の公式情報などをどう見分けるのか。さらに、引用やリミックス文化をどこまで許容するのかも難しい論点です。
収益化制度は、プラットフォーム上の行動を大きく変えます。XがOriginal Content Rewardsで本当に質の高い投稿を増やせるのか、それとも新たな抜け道を生むのか。日本のユーザー、クリエイター、企業アカウントにとっても、今後の制度詳細は注目すべきポイントです。
引用元: X replaces ‘misaligned’ revenue sharing program with Original Content Rewards
