米TechCrunchは、X(旧Twitter)がフィード表示のアルゴリズムを調整し、ユーザー同士のつながりをより強く感じられる投稿を増やす方針だと報じています。今回の変更は、対立や炎上が目立ちがちなSNS体験を、よりコミュニティ寄りで友好的なものに変えようとする動きとして注目されます。
元記事タイトル訳:X、アルゴリズムを微調整――より友好的で、「戦場」のようではない場にするために
このソーシャルメディアサイトは、ユーザーの「相互フォロワー」による投稿をより目立たせることで、フィードにより共同体的な雰囲気を持たせると説明している。
相互フォロワー重視は、Xの「おすすめ」疲れへの処方箋か
今回の変更で鍵になるのは、「相互フォロワー」という概念です。相互フォロワーとは、自分と相手が互いにフォローし合っている関係、または自分の周辺ユーザー同士がつながっている関係を指す文脈で使われます。Xがこうした投稿を増幅するということは、単にバズっている投稿や強い反応を集める投稿だけでなく、自分の人間関係に近い場所で共有されている話題をフィードに出しやすくするという方向性です。
近年のXでは、「おすすめ」フィードに自分がフォローしていないアカウントの投稿が多く表示されることに対して、ユーザーから不満の声もありました。便利な発見機能である一方、政治的対立、炎上、挑発的な投稿、過度にエンゲージメントを狙ったコンテンツが流れ込みやすいという問題もあります。
相互フォロワー周辺の投稿を重視する設計は、こうした「知らない誰かの怒り」よりも、「自分の近いネットワークで話題になっていること」を優先する方向への修正と見られます。これは、SNSを情報収集の場としてだけでなく、知人や関心の近い人たちとの空間に戻そうとする試みとも言えるでしょう。
日本市場では「安心して見られるタイムライン」への需要が強い
日本ではXの利用率が高く、ニュース速報、災害情報、趣味コミュニティ、推し活、企業広報など、幅広い用途で使われています。その一方で、炎上や誹謗中傷、過激な投稿の拡散に疲れを感じるユーザーも少なくありません。
特に日本のユーザーは、匿名性の高いコミュニケーションを好む傾向がある一方で、過度な衝突を避けたいという意識も強い市場です。そのため、Xが「より友好的」「より共同体的」なフィードを目指すことは、日本の利用実態とも相性が良い可能性があります。
企業アカウントやクリエイターへの影響
この変更は、企業アカウントやクリエイターにとっても重要です。従来は、強い言葉や議論を呼ぶ投稿が拡散されやすい傾向がありました。しかし、相互フォロワーや近いコミュニティ内での信頼関係が重視されるようになれば、単発のバズ狙いよりも、継続的な関係構築がより重要になります。
たとえば日本のブランド運用では、キャンペーン投稿だけでなく、日常的な返信、ファンとの会話、コミュニティ内で共有されやすい文脈づくりが評価されやすくなるかもしれません。フォロワー数の大きさだけでなく、「どれだけ濃い関係性を持つユーザーに届いているか」が、今後のX運用の指標として重要になる可能性があります。
アルゴリズム変更の本質は「エンゲージメント至上主義」からの揺り戻し
SNSのアルゴリズムは長らく、クリック、返信、リポスト、滞在時間といったエンゲージメントを最大化する方向で進化してきました。しかし、その結果として、怒りや対立を誘発する投稿が目立ちやすくなるという副作用も指摘されてきました。
Xが今回、より「友好的」で「共同体的」なフィードを目指すのであれば、それは単なる表示順位の微調整にとどまりません。プラットフォームが何を“価値ある会話”とみなすのかを再定義する動きです。
もちろん、相互フォロワー重視には課題もあります。近い関係性の投稿ばかりが表示されると、情報の多様性が下がり、いわゆる「フィルターバブル」が強まる可能性があります。また、新しいアカウントや外部の有益な情報が発見されにくくなる懸念もあります。
そのため重要なのは、対立的な投稿を減らしながらも、偶然の発見や多様な意見に触れる機会をどう残すかです。Xがこのバランスを取れるかどうかが、今回のアルゴリズム変更の成否を左右するでしょう。
今後の展望:Xは「公共広場」から「小さなコミュニティの集合体」へ
イーロン・マスク氏による買収以降、Xは「言論の自由」を掲げる公共広場的な性格を強めてきました。一方で、ユーザー体験の面では、過激な議論やノイズの多さが課題になっていました。
今回の変更は、Xが巨大な公開討論の場であり続けるだけでなく、ユーザーごとの小さなコミュニティを重視する方向へ舵を切りつつあることを示しています。これは、DiscordやThreads、Blueskyなど、より穏やかな会話空間を求めるユーザーが分散している現在のSNS市場に対する対抗策とも考えられます。
日本のユーザーにとっても、Xが「荒れやすい場所」から「趣味や関心でつながれる場所」へ戻れるかどうかは大きな関心事です。アルゴリズムの小さな変更に見えても、日々のタイムライン体験を変える可能性があるだけに、今後の表示傾向には注目が集まりそうです。
引用元: X just tweaked its algorithm to make it more friendly, less battleground
