TechCrunchが報じた海外テックニュースによると、Appleの新CEOであるジョン・ターナス氏は、CEO就任後初の基調講演で「iPhoneはまだ終わらない」というメッセージを強く打ち出しました。記事タイトルでは、これを「25年前のスティーブ・ジョブズの戦略の復活」と位置づけています。
Appleの新CEOは、25年前のスティーブ・ジョブズの戦略を復活させようとしている。
ジョン・ターナス氏は、Apple CEOとして初めて臨んだ基調講演で、iPhoneがどこにも行かない、つまり今後もAppleの中心であり続けることを訴えた。
iPhoneは「成熟市場」ではなく、Apple経済圏の中心であり続ける
スマートフォン市場は世界的に成熟し、買い替えサイクルも長期化しています。日本でも、以前のように毎年新型iPhoneへ乗り換えるユーザーは減り、端末価格の高騰や通信料金、円安の影響によって「数年使い続ける」傾向が強まっています。
それでもAppleにとってiPhoneは、単なるハードウェア製品ではありません。Apple Watch、AirPods、iCloud、Apple Music、Apple TV+、App Store、そして今後さらに拡大するAI機能やヘルスケア機能の入口です。つまり、iPhoneの販売台数そのもの以上に、iPhoneを軸にしたサービス収益とエコシステム全体が重要になっています。
ターナス氏が「iPhoneは終わらない」と強調した背景には、スマホの次をめぐる投資家や市場の不安を抑え、Appleの成長ストーリーを再定義する狙いがあると考えられます。
「ジョブズ戦略」とは何か──製品ラインを絞り、メッセージを明確にする
記事タイトルにある「25年前のスティーブ・ジョブズの戦略」とは、Appleが迷走していた時代にジョブズ氏が行った、製品ラインの整理とブランドメッセージの再集中を想起させます。ジョブズ氏は複雑化していた製品群を絞り込み、ユーザーにとって分かりやすいApple像を再構築しました。
いまのAppleにも「分かりやすい軸」が必要になっている
近年のAppleは、iPhoneだけでなく、Mac、iPad、Apple Watch、Vision Pro、サービス事業、AI機能など、多方面へ事業を広げています。しかし、多角化が進むほど「Appleは次に何を中心に据えるのか」が見えにくくなるリスクもあります。
そこで新CEOがあえてiPhoneを前面に出すことは、Appleの次の時代を語るうえで重要です。新しいデバイスやAIサービスが登場しても、それらを日常生活に接続する最も強力なハブは、依然としてiPhoneであるというメッセージです。
日本市場への影響──高価格化の中で「持ち続ける価値」が問われる
日本は世界的に見てもiPhone人気が高い市場です。一方で、端末価格の上昇により、消費者は以前よりも慎重に購入を判断するようになっています。今後Appleが日本で成長を維持するには、新機種の性能向上だけでなく、「長く使うほど価値が増す」体験を提示できるかが鍵になります。
たとえば、オンデバイスAI、写真・動画編集、健康管理、決済、セキュリティ、家族向け機能などは、日本のユーザーにとっても実用性が高い領域です。AppleがiPhoneを単なるスマホではなく、生活インフラとしてさらに進化させられれば、高価格帯でも支持を維持できる可能性があります。
次の焦点は「AI時代のiPhone」をどう見せるか
現在のテック業界では、生成AIが最大の競争軸になっています。Appleにとって重要なのは、AIを単体のサービスとして見せることではなく、iPhoneの体験の中に自然に組み込むことです。ジョブズ流の戦略が「シンプルで強い製品メッセージ」だとすれば、新CEOに求められるのは、AI時代におけるiPhoneの存在意義を誰にでも分かる形で語ることだと言えます。
今回の発言は、AppleがポストiPhoneを急ぐのではなく、iPhoneを再び中心に据え直すという宣言にも見えます。スマホ市場が成熟した今だからこそ、Appleは「次の革命」ではなく「既にある巨大な基盤の再発明」に賭けているのかもしれません。
引用元: Apple’s new CEO is reviving a Steve Jobs strategy from 25 years ago
